平成23年度経営計画(詳細版)

経営方針

重点課題

平成23年度事業計画

Ⅰ 経営方針

1 業務環境

(1)三重県の景気動向

平成20年9月のリーマンショックから、緩やかながら回復の過程を辿っていた県内景気も政策効果終了や円高の影響などを受け、足踏み状態にあります。

「三重県内経済情勢」(平成23年2月発表)によりますと、県内主要3業種のうち、電気機械工業、輸送機械工業の生産指数は上昇基調にある一方、化学工業の生産指数は低下基調にあり、生産活動は一進一退の状況となっています。

また、エコカー補助金終了以降、大幅なマイナスを記録してきた新車乗用車販売は底入れした状況となり、大型小売店販売額も平成22年11月に28か月ぶりに前年を上回るなど、個人消費は低調な推移ではありますが、回復に向けた動きも見られます。

なお、雇用情勢は、緩やかに持ち直しつつありますが、有効求人倍率は0.68倍(平成23年1月)と28か月連続で1倍を割り込む低水準が続いています。

(2)中小企業を取り巻く環境

平成22年(1月~12月)の県内企業の倒産件数((株)東京商工リサーチ調査)は、134件30,732百万円となり、件数、負債額とも前年を下回りました(平成21年 140件 34,755百万円)。

原因別では、販売不振と既往シワ寄せを原因とする不況型倒産が全体の8割弱を占めています。

一方、平成22年度、当協会が承諾した返済緩和の条件変更の申込みは、対前年比 件数159.2%、金額169.2%(平成23年2月末時点)と高水準で推移しています。

このような中、三重県による平成23年第1回景況調査(調査時点平成23年1月)の結果によりますと、約68%の企業が今期(平成23年1月~3月)の県内景気は「悪い」と回答し、約19%の企業が資金繰りが「悪化」すると回答しています。

以上のことから、中小企業を取り巻く経営環境は、依然として厳しい状況が続いており、今後、企業倒産が増加に転じることが強く懸念されます。


  (3) 3月11日(金)に発生した東日本大震災は、リーマンショック以来、ようやく手中にした景気回復基調を根底から揺るがす未曾有の大惨事であります。今後は、国内外の経済動向、特に、県内中小企業者の経営環境の推移に十分注力し、信用保証協会としての役割と責任を果たしていかなければなりません。

2 業務運営方針

三重県信用保証協会は、信用保証による金融支援を更に充実するとともに、厳しい経営環境におかれた中小企業に対し、経営支援・事業再生支援などを通じ、地域と密着した事業活動を実践し、中小企業者の事業継続、倒産防止を基本にした業務運営に引き続き努めます。

特に、平成23年度からは、三重県をはじめ、金融機関や商工団体などと連携した「創業支援」、「事業転換・新分野進出支援」にも力を入れ、計画段階から融資実行後のフォローまで、資金支援と経営支援を継続的且つ総合的に取り組みます。

また、条件変更の相談、申込みが引き続き高水準で推移すると予想されるため、借換保証の推進や条件変更に積極的に対応しながら、期中管理の充実による代位弁済の抑制及び回収強化に取り組み、信用補完制度の持続的な運営基盤の強化を目指し、次のとおり業務運営方針を定めます。

(1)保証部門

国・県の施策に呼応し、借換保証の推進やセーフティネット保証などの各種政策保証に積極的に取り組み、中小企業の資金繰りの円滑化を図ります。

また、創業を目指す方や事業の転換、新分野への進出を図る中小企業者に対して、三重県をはじめ、商工団体や大学などと連携し、積極的な支援を展開していくことで、創業の促進や事業の継続、企業の再生を支援します。

そのために、書類による形式的な判断ではなく、実地調査や面談を中心とした、FACE TO FACEの対応により、定性要因も十分加味した、中小企業者の真の経営力を評価する保証審査に取り組みます。

(2)期中管理部門(経営支援・再生支援を含む。)

保証後のフォローアップ体制の強化を図り、継続的な支援に取り組みます。特に創業者に関しては、創業後の様々な経営課題に対して定期的なモニタリングを行うことで、保証部門との連携や専門家の活用も合わせ、総合的な支援に取り組み、事業の継続を支えていきます。

また、三重県中小企業再生支援協議会との連携のもと、地域企業の再生を支援するとともに、既保証先で比較的小規模の企業の再生支援については、関係金融機関の協力のもとに、当協会に事務局を置く再生支援連絡会議(通称:ミニ再生)により、可能な限り迅速・的確な再生支援に努めます。

(3)回収部門

増大する求償権に対し、実地調査を基本に実態把握に努め、的確に返済能力判定を行い、きめ細かい返済交渉を行い回収額の増加に引き続き努めます。

また、協会職員の弁護士や顧問弁護士を積極的に活用して、不誠実な債務者からの回収を図るなど、適時適切な法的措置を行い、回収額の増加に努めます。

回収業務の効率化を図るため、保証協会債権回収株式会社(以下「サービサー」という。)、外部弁護士への回収委託を積極的に行うとともに、管理事務停止、求償権整理を積極的に進めます。

(4)その他部門

コンプライアンス体制等の運用強化を図り、中小企業者あるいは地域から信頼される信用保証協会の実現に努めます。

また、目利き能力や経営のアドバイスを行える人材の育成に努めるとともに、職員へのリスク管理の徹底、各規程やマニュアルの習熟度向上を図ります。

Ⅱ 重点課題

1 保証部門

(1)現状認識

中小企業の経営環境は、内需縮小、国内外の競争激化などから厳しい状況であり、中小企業者の資金繰りを支えていくことや、これまで以上に財務諸表には表れない企業の価値、経営資源も含め評価する対応が求められています。

また、創業支援や事業転換・新分野進出支援を積極的に展開していくことで、中小企業者の育成や事業の継続、倒産防止に努めていく必要があります。

(2)具体的な課題

〈1〉定性要因を重視した保証審査

〈2〉創業支援の強化

〈3〉事業転換・新分野進出支援の取り組み

〈4〉企業浸透率の向上

〈5〉借換保証の推進

〈6〉金融・経営相談などの充実

(3)課題解決のための方策

〈1〉定性要因を重視した保証審査
   企業の業績が悪化する中、財務分析だけではなく、経営者の事業改善意欲、企業の持つ販売力・技術力などの定性要因を十分に評価するため、面談(FACE TO FACE)や実地調査を重視した保証審査により、事業の改善や成長を支えます。

   また、経営改善が必要と思われる中小企業へは専門家等の派遣を行い経営支援を行います。

〈2〉創業支援の強化
   創業の促進を図るため、三重県をはじめ、商工団体や大学と連携し、創業計画段階からの相談業務の充実や資金調達まで総合的な創業支援を提供します。

〈3〉事業転換・新分野進出支援の取り組み
   事業転換・新分野進出の経営課題について、商工団体等の関係団体と連携して支援に取り組みます。

〈4〉企業浸透率の向上 
   これまで、公的保証を利用したことのない中小企業者のニーズを的確に捉え、各種の政策保証などの積極的かつ適正な保証推進を図ることで、企業浸透度(注1)の向上を図ります。

   (注1)県内中小企業者のうち信用保証協会を利用している企業の割合  

〈5〉借換保証の推進
   複数の借入を一本化するなど、借換保証を推進し、中小企業者の資金繰りの改善をサポートします。

〈6〉金融・経営相談の充実
   今まで以上に親切丁寧な対応を行うとともに、金融面からの相談・支援にとどまらず、これまで培った経営支援や財務アドバイスの知識・経験を活用し、倒産防止に繋がる経営支援に引き続き努めます。

2 期中管理部門 (経営支援・再生支援を含む。)

(1)現状認識

企業業績の回復が遅れているなか、中小企業金融円滑化法の1年延長の措置により、平成23年度も返済緩和の条件変更申込みが高水準で推移することが予想されます。

中小企業の資金繰りを支援するため、金融機関や関係機関と連携して、中小企業者の業態把握と経営支援を強化していくことが求められています。

さらに今後、代位弁済の増加が十分に予測されることから、その抑制を図るため期中管理の強化に努める必要があります。

(2)具体的な課題

〈1〉企業情報の早期取得と資金繰り改善に向けた支援

〈2〉保証後のフォローアップ体制の強化

〈3〉事業再生支援

(3)課題解決のための方策

〈1〉企業情報の早期取得と資金繰り改善に向けた支援
   金融機関と連携のうえ、現地訪問を積極的に行い、中小企業者の状況を早期且つ的確に把握し、資金繰りの相談に対して、適切且つ親身に対応し、延滞発生や事故発生を未然に防ぎます。

〈2〉保証後のフォローアップ体制の強化
   財務内容が悪化していたり業績の回復が遅れている中小企業者については、金融機関、商工団体との連携や専門家等の派遣を行い、継続的な経営支援を実施します。

〈3〉事業再生支援
   事業継続に意欲があり、事業改善の可能性が見込まれる中小企業者に対して、三重県中小企業再生支援協議会との連携や、再生支援連絡会議(通称:ミニ再生)により、事業再生を積極的に支援します。

3 回収部門

(1)現状認識

破産・民事再生などの法的整理から、返済交渉可能な案件が減少していることに加え、返済交渉可能な案件も無担保求償権の増加、第三者保証人が無いことなどから回収は困難を増しています。

今後、代位弁済される求償権の内容は益々劣化し、更に回収困難な案件の増加が予想されるため、早期回収の着手、サービサーの活用による効率的な回収が一層必要となっています。

(2)具体的な課題

〈1〉中小企業者等の状況に応じた適正な債権管理

〈2〉サービサーとの連携の強化

〈3〉事業再生へのサポート

〈4〉協会職員の弁護士及び顧問弁護士の活用

〈5〉回収事務の効率化   

(3)課題解決のための方策

〈1〉中小企業者等の状況に応じた適正な債権管理
   中小企業者等の状況を的確に把握し、その状況に応じた返済額や返済期間の設定、あるいは遊休不動産の売却による債務負担の圧縮を進めることで、回収の促進に努めます。

〈2〉サービサーとの連携の強化
   サービサーへの委託件数が増加するなか、サービサーとの連携を更に深めることで、効率性を高め、回収額の増加を図ります。

〈3〉事業再生へのサポート
   事業継続中であり、債務の返済に意欲的な中小企業者に対しては、経営状況を見極め、改善の見込みがある場合には、事業再生を積極的にサポートします。

〈4〉協会職員の弁護士及び顧問弁護士の活用
   法律上、回収困難な案件などについては、協会職員の弁護士、顧問弁護士を積極的に活用し、適時適切な対応を行います。

〈5〉回収事務の効率化
   法的整理等により回収不可能となった案件については、管理事務停止、求償権整理手続きを積極的に行います。

4 その他部門

(1)現状認識

厳しい景気状況の中、中小企業金融に占める信用保証協会の重要性はますます高まっており、信用保証協会の社会的信頼を一層高める必要があります。

特に経営支援の重要性は増しており、経営支援を行える人材の育成は大きな課題となっています。

また、中小企業者あるいは地域から信頼される信用保証協会の実現のためにも、協会の持つ公的な役割を職員一人ひとりが十分認識し、中小企業の支援者として的確に業務を推進することが求められています。

(2)具体的な課題   

〈1〉人材の育成

〈2〉コンプライアンス、個人情報保護への的確な対応

〈3〉リスク管理体制の強化

〈4〉組織体制の整備・強化と効率的な人員配置

(3)課題解消のための方策 

〈1〉人材の育成
   信用保証協会の役割と責任を自覚した職員の育成を基本に、企業の実態を把握し、財務諸表だけでは、捉えることの出来ない企業の信用力を見極める「目利き能力」や「経営支援能力」の向上に注力し、内部研修の充実、中小企業診断士等の公的資格の取得、全国信用保証協会連合会の実施する協会資格検定(信用調査検定プログラム)の受験を促し、専門的な能力の向上を図ります。

〈2〉コンプライアンス、個人情報保護への的確な対応
   コンプライアンス、個人情報保護の諸規程の理解徹底を内部研修及びチェックシートにより図ります。また、内部監査により、定期的な点検と継続的改善を実施します。
   
〈3〉リスク管理体制の強化
   事業継続計画(リスク管理計画)を役職員に徹底します。
   各部署の次長を中心に事務リスクの自主点検を実施し、未然防止に努めます。
   
〈4〉組織体制の整備・強化と効率的な人員配置
   電算システムの運用高度化を図り、引き続き迅速かつ正確な事務処理体制を強化するとともに、事務の改善を継続的に実施することにより、中小企業者や金融機関に対するより一層の利便性・サービスの向上を目指します。

Ⅲ 平成23年度事業計画

平成23年度の「保証承諾」等の主要業務に係る事業計画は次のとおりです。

(単位 :百万円、%)
 金    額対前年度(22年度)
計画比
対前年度(22年度)
実績見込比
保証承諾 177,077 98.2%  86.9%
保証債務残高 467,016 97.0%  94.1%
保証債務平均残高
 475,448 97.4%
 95.5%
代位弁済 14,506 89.2%  126.6%
実際回収 3,011 98.9%  89.3%
求償権残高  4,773  99.5%  182.2%

 

積算の根拠(考え方)
保  証  承  諾  :   緊急保証制度の終了の影響と金融機関の動向等から算出。
保証債務残高 :   過去の保証承諾に対する実行率、償還率を参考に算出。
代  位  弁  済  :   CRDのカテゴリ別の保証債務残高及びデフォルト率を参考に算出。
実  際  回  収  :   定期回収額、例年のスポット回収額を参考に、努力目標を加味し算出。