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平成20年度経営計画・実績の評価

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三重県信用保証協会は、公的な「保証機関」として、中小企業者の資金調達の円滑化を図り、中小企業者の健全な育成と地域経済の発展に貢献して参りました。
平成20年度経営計画の実施状況に対する自己評価は以下のとおりです。

1 業務環境

(1)地域経済及び中小企業の動向

平成21年3月の鉱工業生産指数(平成17年=100)は、79.4となり、5ヵ月ぶりに上昇しました。県内主要3業種では、電気機械工業は2ヵ月ぶりに下降したものの、輸送機械工業は3ヵ月ぶりに上昇し、化学工業は6ヵ月ぶりの上昇となるなど、生産活動は回復の兆しがありますが、対前年比では31.1%と低調となっています。

また、個人消費も大型小売店販売額が前年同月を8ヵ月連続で下回るなど低迷が続いています。

県内中小企業は、戦後最大とも言われる厳しい経済環境の中、売り上げ不振、利益の減少など業況は一段と悪化しており、資金繰りの悪化から企業倒産の増加が懸念される状況です。

(2)中小企業向け融資及び保証の動向

平成21年3月末の県内銀行の貸し出し残高は3兆3964億円と前年同月を378億円下回っています。一方信用金庫の貸し出し残高は6194億円と前年同月を421億円上回っています。

当協会の平成21年3月末の保証債務残高は、緊急保証の取扱いにより、4961億円となり、前年同月を545億円上回り、大幅な増加となっています。

(3)三重県内中小企業の資金繰り状況

平成21年5月の三重県景況調査によると、63%の企業が今期の資金繰りについて「不変」としていますが、「好転」が3.4%、「悪化」が23.8%となっており、「悪化」が「好転」を大幅に上回っています。

(4)県内中小企業の設備投資動向

平成21年5月の三重県景況調査によると、36%の企業が今期の設備投資意欲について「不変」としていますが、「上昇」が5.7%、「下降」が53.8%となっており、「下降」が「上昇」を大幅に上回っています。

(5)三重県内の雇用情勢

平成21年5月の県内有効求人倍率は、0.40倍となっており、過去最低を3ヵ月連続で更新し、12ヵ月連続で下落しています。また、全国平均を4ヵ月連続で下回り、昨年6位だった全国順位は28位となっており、依然として厳しい状況が続いています。

2 事業概況

平成20年度における当協会の事業概況について、基幹業務である保証業務では、中小企業支援対策の中核として創設された「緊急保証制度」が大きな要因となり、保証承諾は18,121件、3,167億円で、前年度に比べ件数で21%、金額においては62%の大幅な増加となりました。保証債務残高については、42,387件、4,960億円で、前年度に比べ件数は1%の減少となりましたが、金額は12%の増加となりました。

一方、経済の急速な悪化の影響を受け、代位弁済は、1,196件、146億円と前年度に比べ件数、金額とも15%の増加となりました。

また、回収についても3,036百万円にとどまり、前年度に比べ6%の減少となりました。

平成20年度の保証承諾等の主要業務数値は、以下のとおりです。

(単位: 件、百万円)

項 目    件 数    前年度比    金 額    前年度比計画値(金額)計画達成率
保証承諾 18,121 121% 316,787 162% 188,332 168%
保証債務残高 42,387 99% 496,066
112% 445,164 111%
代位弁済 1,196 115% 14,622 115% 11,791 124%
回収 3,036 94% 3,200 95%

3 決算概要

平成20年度の決算概要(収支計算書)は、以下のとおりです。


(単位 :百万円)

経常収入 5,479
経常支出 3,424
経常収支差額 2,055
経常外収入 15,775
経常外支出 17,934
経常外収支差額 -2,159
金融安定化特別基金取崩額 89
制度改革促進基金取崩額 23
当期収支差額 8

「緊急保証制度」導入により、保証承諾は前年を大きく上回りましたが、同制度は低保証料率であることから、保証料収入は前年度に比べ4%減少となりました。一方、同制度にかかる信用保険料も低率であることから、結果として、経常収支差額は計画を4億円上回りました。しかしながら、求償権償却等の経常外支出が大幅に増加したことから当期収支差額は8百万円となりました(計画305百万円)。この収支差額については、基本財産のうちの基金準備金に4百万円、別途、収支差額変動準備金に4百万円の繰入処理を行いました。

4 重点課題への取り組み状況

平成20年度の重点課題として掲げた項目への取り組み状況は、以下のとおりです。

(1)保証部門

[1]企業浸透率の向上

毎月、職員、保証推進員が完済企業を訪問し、再利用の促進を図ると共に、金融機関・商工団体へ積極的に営業活動を実施しました。原則、保証推進員が出勤日に毎日、金融機関・商工団体を訪問し、さらに4月から9月にかけては、のべ12名の職員が帯同して保証推進を図りました。

また、提携保証制度の見直しを図り、8月に新提携保証制度を創設しました。

なお、浸透率については、平成20年度末30.2%(平成19年度末30.4%。対前年比▲0.2%)でありました。これは、新規保証先が1,312件で、保証完済先が1,394件の結果であります。

[2]保証審査の適正化{共同化システム及びCRD(中小企業信用リスク情報データベース)の効率的な活用と運用}

共同化システム上の問題点を抽出し、東海ブロック事務研究会において意見交換、他協会の状況を確認しました。

[3]金融・経営相談業務の充実及び金融機関・商工関係団体との連携維持・強化

毎月発行の「信保瓦版」「信保だより」にて情報発信を行う一方、ウエルカムデーや相談会を設け相談業務の充実を図り、金融機関・商工関係団体との間で勉強会等を実施することで連携強化に取り組みました。

さらにはMSSを利用した経営相談に係る案内文書を中小企業経営クラブ会員に発信、月報に掲載するなど行い、要望のあった企業に対し経営相談を行いました。

各実施状況は次のとおり

ウエルカムデー・相談会 44日間、金融機関・商工関係団体との勉強会等 19回、企業経営相談 2件

[4]政策保証の積極的な取り組み

平成20年度上期は、セーフティネット保証、流動資産担保融資保証などの利用促進を図りました。

夏以降、景気が急速に悪化し、政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議において「安心実現のための緊急総合経済対策」が決定され、資金繰り対策の拡充として、「原材料価格高騰対応等緊急保証制度(現:緊急保証制度)」が平成20年10月31日に創設されました。その後、同制度の対象となる業種も随時追加指定され、同制度を柱に中小企業者の資金繰り、経営安定に取り組みました。

各保証制度の実績は次のとおり
「流動資産担保融資保証」
平成20年度 承諾件数58件  承諾金額2,066百万円
平成19年度 承諾件数61件  承諾金額1,558百万円

「セーフティネット保証」
平成20年度 承諾件数377件 承諾金額11,320百万円
平成19年度 承諾件数473件 承諾金額14,290百万円

「緊急保証」
平成20年度 承諾件数5,548件 承諾金額150,948百万円

これら多額の保証承諾により、今後は倒産防止に向けた期中管理が大きな課題となります。

[5]協会独自商品の充実

平成20年10月1日から12月30日までの間、「プレミアム2008保証制度」、「信金提携2008保証制度」を運用しました。

なお、両制度の実績は、「プレミアム2008保証制度」が承諾件数184件 承諾金額5,858百万円、「信金提携2008保証制度」が承諾件数22件、承諾金額173百万円となりました。

(2)期中管理部門

[1]企業再生・企業支援の強化

事業再生が必要と思われる企業を定期的にピックアップし、当該企業や取引先金融機関を訪問することにより、決算情報・取引情報等の収集を行いました。その結果、8企業に対し新規増額保証(内2企業は求償権消滅保証)を実行しました。また、再生支援協議会との連携強化にも引き続き努め、平成20年度は27企業に対応しました。

[2]企業情報の早期取得

金融機関訪問、電話や文書による確認など企業情報の早期取得に努めました。

また、返済困難と判断した先については、早期に代位弁済手続きを行い、代位弁済利息の抑制を図りました。
(代位弁済利息率  平成20年度 0.93%   参考:平成19年度 0.96%)

[3]大口保証先の管理

保証債務残高2億円以上の企業を抽出し、当該企業の決算書を徴求するなど返済状況や決算状況を確認することで集中管理を行いました。

また、知り得た企業情報は管理表を作成し、情報の共有化を図りました。

[4]延滞先の経営支援強化

随時、金融機関、商工会議所、商工会に通知を行い延滞管理など早期対応を依頼しました。また、条件変更申込先や事故報告書提出先などは再挑戦・企業支援本部と情報を共有することで企業再生の検討も行いました。

(3)回収部門

[1]サービサー(保証協会債権回収(株))の活用(首都圏営業所、近畿圏営業所の活用含む。)

平成20年度は340件、2,876百万円を委託しました。同年度、サービサーにおいて営業所開設以降最高となる644百万円(元本、損害金、未収保証料、費用含む。対前年度比118%)の回収実績を上げるなど、活用効果は徐々に現れているものと思われます。また、随時、意見交換を行うなどして連携の強化に努めました。

なお、近畿圏営業所の開設は平成21年度以降となったため、同営業所の活用という点については、三重営業所における事前準備にとどまりました。

[2]専門家の活用

毎月、顧問弁護士との相談会を行うなど連携を密にし、適時適切な回収に努めました。従来の不動産仮差押や訴訟手続きに加え、資産隠匿を図る債務者に対する詐害行為取消請求訴訟など回収の手法もその幅を広げました。

また、弁護士2名を職員に採用し、回収部門に配置することで回収強化を行いました。

[3]求償権先の早期実態把握(委託案件の内容把握を含む。)

代位弁済時、債務者等と面談を行う前に、資産調査、担保不動産の現地確認など情報収集を積極的に行い、面談も代位弁済担当者と回収担当者の複数で対応することで適正且つ有利な交渉に努めました。

また、面談の中においても債務者等の状況を確認し、時には不動産の任意売却を促すなど相手の状況に応じた対応を行いました。

[4]大口求償権の回収状況共有化

代位弁済企業ごとの回収方針の策定や回収予定表の作成など、情報の共有化、管理の徹底を図りました。

[5]回収金振り込み方法の多様化

回収金振り込み方法として「百五代金回収サービス」の導入に着手しました。現在、同サービスのシステムと協会の業務システムの整合性を確認、調整しているところです。同サービスを導入することで、3金融機関(百五銀行、三重銀行、三重信用金庫)に限定されていた口座振替が、全ての金融機関口座から可能となり、利便性の確保と定期入金の強化につながるものと思われます。

(4)その他間接部門

[1]経営分析情報の収集と周知

全国信用保証協会連合会が作成する資料「保証債務・代位弁済の状況と信用リスク」をサイボウズ(社内LAN)へ掲載し、職員への情報の共有化を図りました。

また、各部署において、年度経営計画の実施状況を四半期ごとに確認し、PDCAの徹底に努めました。

さらには、平成21年度~平成23年度間の中期事業計画策定にあたり、若手職員を中心に部門にとらわれず組織横断的な体制とするプロジェクトチームを立ち上げ、過去10年間の統計数値等を基に案を作りあげました。

[2]組織体制の整備・強化と効率的な人員配置

各部署の業務分掌を見直すとともに、国の施策に呼応した政策保証の積極的推進のために再挑戦・企業支援本部を設け、専任の再生支援監を配置したほか各部署に本部員を配置しました。また、事務負担の大きい統括課の人員を充実させました(本店営業部は1名増、四日市支店は専任の課長を配置)。

7月には、企業再生業務に豊富な経験を有する人材を1名採用し、再挑戦・企業支援本部に配置し、再生支援体制の更なる充実を図りました。

[3]人材の育成、人事考課の定着

平成20年度は35名が通信教育講座を受講しました。また、職員1名が中小企業診断士の資格を取得しました。

さらには、連合会において信用調査検定プログラムが創設され、「ベイシス(初級)」に7名が受験し、全員が合格しました。

その他、様々な研修会に多くの職員が参加し、また、金融機関と共同で動産担保勉強会を行うなどレベルアップに取り組みました。

人事考課についても、11月に人事考課定着研修を実施した後、賞与、昇給に反映させました。

[4]規程、各事務マニュアルの整備

随時、規程の改正、マニュアルの再整備を行いました。

[5]コンプライアンスへの対応、経営の透明性の確保

引き続きコンプライアンス認識度調査を行い、各部署別にビデオを活用した研修や顧問弁護士による研修会を実施ました。また、公益通報者保護規程の見直しやコンプライアンス担当者を反社会的勢力対策の緊急対策セミナ-に派遣するなど、コンプライアンス体制の充実、向上を図りました。

ホームページには、財務諸表や経営計画の実績、評価を掲載、さらに9月にディスクロ-ジャ-誌を発刊するなどして、経営の透明性に努めました。

[6]ホームページ、月報など広報の内容刷新

ホームページは内容刷新を検討しました。月報については、平成21年度以降、スピーディーに情報提供できるよう冊子は止め、ホームページに掲載することにしました。

5 外部評価委員会の意見

中小企業診断士大竹美光先生、公認会計士山中利之先生、四日市大学河崎亜洲夫教授により構成される「外部評価委員会」の意見・アドバイスを踏まえ、「平成20年度経営計画の評価」を作成いたしました。「外部評価委員会」の意見・アドバイスについては、以下のとおりです。

日本経済は100年に一度の経済危機と言われる急激で世界的な景気後退に見舞われたが、平成20年の秋以降、緊急保証制度がスタートし、保証協会の特別体制もあって、実績を上げ、多くの中小企業の資金繰り改善、倒産の回避につながり、成果を出している。

しかし、緊急保証により保証債務残高は大幅な増加となり、景気の低迷状態が続き、企業倒産の増加が懸念される中で、今後、さらに金融機関との協力、中小企業の業況の把握と分析、中小企業への経営支援などタイムリーな特別管理、重点管理が重要となっている。

また、企業浸透度(中小企業の信用保証の利用度)の向上は長年の課題となっている。三重県の経済環境の特異性も考えられるが、引き続き、平成21年度以降の計画の中で、いろいろな面からの分析、対応策の検討、実施による中小企業の制度利用の拡大を期待する。